カレンダーや暦の解説で「八方塞がり」という言葉を目にしたことがある方は少なくないでしょう。厄年とよく混同されますが、実はまったく異なる考え方に基づいています。八方塞がりは九星気学という占術の概念で、厄年は数え年による年齢の区切りです。どちらも「気をつける年」として扱われることがありますが、由来も判断の方法も違います。
この記事では、八方塞がりとは何か、厄年とどう違うのか、九星気学ではどのように考えられているのかを、中立的な視点から解説します。不安を煽ることなく、それぞれの考え方の背景を知ることで、自分なりの向き合い方を見つける手がかりにしていただければ幸いです。
八方塞がりとは何か
八方塞がり(はっぽうふさがり)とは、九星気学という占術において、運気が停滞しやすいとされる年回りのことを指します。「八方」とは東西南北と北東・北西・南東・南西の八つの方位を意味し、「塞がり」はその方位がすべて凶方位になるという意味合いです。
九星気学では、一白水星(いっぱくすいせい)、二黒土星(じこくどせい)、三碧木星(さんぺきもくせい)、四緑木星(しろくもくせい)、五黄土星(ごおうどせい)、六白金星(ろっぱくきんせい)、七赤金星(しちせききんせい)、八白土星(はっぱくどせい)、九紫火星(きゅうしかせい)の九つの「本命星」があります。生まれた年によってこの本命星が定まり、毎年巡ってくる九星の配置によって吉凶の方位や運気の流れを占うとされています。
八方塞がりに当たるのは、本命星が中宮(ちゅうぐう)という中央の位置に回座する年です。九星は9年で一巡するため、9年に一度この状態が訪れるという考え方があります。中宮にいるときは、どの方位に動いても凶方位になるため、新しいことを始めたり大きな移動をしたりするのは避けた方がよいとされることがあります。
九星気学の歴史と位置づけ
九星気学は、古代中国の陰陽五行説や九星術を基にしていますが、現在広く知られている形に体系化されたのは近代に入ってからとされています。
九星気学は占術の一種であり、暦注(六曜や選日、暦注下段など)とは異なる体系です。暦注が暦に記載される日々の吉凶の注記であるのに対し、九星気学は生まれ年や年の巡りをもとに運気や方位を占う技法です。したがって、暦に「八方塞がり」という注記が直接記されることは基本的にありませんが、一部のカレンダーや開運本では参考情報として掲載されることがあります。
九星気学は占術であるため、その効果や結果を保証するものではありません。信じる・信じないは個人の自由であり、あくまで一つの考え方として受け止めることが大切です。
厄年との違い
八方塞がりと厄年は、どちらも「気をつけるべき年」として語られることが多いため混同されがちですが、その根拠と判断方法はまったく異なります。
厄年の考え方
厄年は、数え年で特定の年齢に当たる年に災難や体調の変化が起こりやすいとされる民間信仰です。男性は25歳・42歳・61歳、女性は19歳・33歳・37歳・61歳が本厄とされ、その前後の年が前厄・後厄とされます。特に男性の42歳、女性の33歳は「大厄」と呼ばれ、より注意が必要とされることがあります。
厄年は年齢で決まるため、同じ年に生まれた人は全員同じ年に厄年を迎えます。神社やお寺で厄払いや厄除けの祈祷を受ける習慣があり、日本各地で古くから行われてきました。
八方塞がりの考え方
一方、八方塞がりは九星気学における運気の巡りで決まります。生まれた年の本命星によって9年に一度巡ってくるため、年齢ではなく「何年の生まれか」で判断されます。同じ年齢でも、生まれ年が違えば八方塞がりの年も異なります。
たとえば、一白水星の人は本命星が中宮に入る年が八方塞がりとなりますが、二黒土星の人は別の年に八方塞がりを迎えます。このように、八方塞がりは個人の本命星に応じて巡るものであり、厄年のように年齢で一律に決まるものではありません。
厄年と八方塞がりが重なることもある
八方塞がりと厄年は別の考え方ですが、計算上、同じ年に重なることもあります。その場合、「二重に気をつける年」として捉える人もいれば、「どちらか一方だけを気にする」という人もいます。重なったからといって必ず何か起こるわけではなく、どう受け止めるかは個人の価値観によります。
八方塞がりの年の過ごし方
九星気学において、八方塞がりの年は新しいことを始めたり、大きな変化を起こしたりするのを控え、現状を維持することに努めるのがよいという考え方があります。ただし、これはあくまで占術上の解釈であり、絶対的なルールではありません。
避けた方がよいとされること
九星気学では、八方塞がりの年には次のようなことを避けた方がよいとされることがあります。
- 引越しや新築、増改築
- 転職や独立、開業
- 結婚や入籍
- 長距離の旅行や海外旅行
- 大きな買い物や投資
これらは「運気が停滞しているときに大きな変化を起こすと、うまくいかない可能性がある」という考え方に基づいています。ただし、現実の生活では、引越しや転職、結婚などのタイミングを自由に選べないこともあります。八方塞がりだからといってすべてを先送りにする必要はなく、自分の状況や優先順位を踏まえて判断することが大切です。
八方塞がりの年にできること
八方塞がりの年は、新しいことを始めるよりも、これまで積み重ねてきたことを見直したり、基礎を固めたりする時期とされることがあります。たとえば、スキルアップのための勉強、健康管理の見直し、人間関係の整理、家の中の片付けや整理整頓などは、内面を充実させる取り組みとして前向きに捉えられることもあります。
また、九星気学では「方違え(かたたがえ)」という方法で凶方位を避ける手法があるとされています。これは、目的地へ直接向かうのではなく、一度吉方位に立ち寄ってから目的地へ向かうという考え方です。ただし、方違えの方法や解釈は流派によって異なるため、詳しく知りたい場合は専門の書籍や九星気学に詳しい占い師に相談するとよいでしょう。
八方塞がりのお祓いや祈祷
厄年に厄払いや厄除けの祈祷を受けるように、八方塞がりの年にもお祓いや祈祷を受けることができる神社やお寺があります。ただし、すべての神社・お寺が八方塞がりの祈祷を行っているわけではありません。九星気学は占術であり、神道や仏教の公式な教えとは別のものだからです。
八方塞がりの祈祷を希望する場合は、事前に神社やお寺に問い合わせて、対応しているかを確認するとよいでしょう。また、祈祷を受けたからといって必ず運気が上がるわけではなく、あくまで心の支えや区切りとして捉えることが大切です。
なお、祈祷の時期や作法は神社・お寺によって異なります。厄払いと同じく、年明けから節分までに受けるのが一般的とされることもありますが、一年を通じて受け付けているところもあります。詳細は各施設に確認してください。
八方塞がりと厄年、どちらを重視するか
八方塞がりと厄年のどちらを重視するかは、個人の考え方や信仰によります。厄年は神社やお寺で広く認知されている民間信仰であり、地域の習慣として根付いているところも多くあります。一方、八方塞がりは九星気学という占術の概念であり、占いや気学に関心がある人の間で重視されることがあります。
どちらか一方だけを気にする人もいれば、両方を参考にする人もいます。また、どちらも気にせず、日々の生活や健康管理を大切にするという人もいます。いずれの立場も尊重されるべきであり、「正しい」「間違っている」という基準はありません。
大切なのは、暦や占いに振り回されすぎず、自分の価値観や状況に合わせて判断することです。不安を感じたときは、信頼できる家族や友人、専門家に相談することも一つの方法です。
九星気学を学ぶときの注意点
九星気学に興味を持ち、自分で学んでみたいと思う方もいるかもしれません。書籍やインターネットで情報を得ることはできますが、いくつか注意すべき点があります。
流派による違い
九星気学にはいくつかの流派があり、本命星の出し方や吉凶の判断、方位の取り方などが微妙に異なることがあります。ある流派では吉方位とされる方位が、別の流派では凶方位とされることもあります。そのため、複数の情報源を参考にする場合は、どの流派の考え方に基づいているかを確認することが大切です。
占いの限界を理解する
九星気学は占術であり、未来を確実に予測するものではありません。「必ず当たる」「絶対に避けるべき」といった断定的な表現には注意が必要です。占いはあくまで参考情報の一つであり、最終的な判断は自分自身で行うものです。
また、占いに依存しすぎて日常生活に支障をきたすようであれば、専門のカウンセラーや医療機関に相談することをおすすめします。
高額な鑑定や商品に注意
九星気学を利用した鑑定や開運グッズの販売が行われていることがありますが、中には高額な料金を請求するものや、不安を煽って契約を迫るものもあります。占いやお祓いを受けること自体は個人の自由ですが、契約内容や料金に納得できない場合は、無理に応じる必要はありません。消費者センターや弁護士などの専門家に相談することも検討してください。
よくある質問
八方塞がりの年に結婚してはいけないのですか?
九星気学の考え方では、八方塞がりの年は新しいことを始めるのを避けた方がよいとされることがありますが、これは占術上の一つの解釈です。結婚は人生の大切な節目であり、暦や占いだけで決めるものではありません。お互いの気持ちや家族の都合、仕事の状況などを総合的に考えて判断するのがよいでしょう。八方塞がりの年に結婚したからといって、必ず不幸になるわけではありません。
厄年と八方塞がりが重なる年はどうすればよいですか?
厄年と八方塞がりが重なったとしても、過度に不安になる必要はありません。どちらも「気をつける年」という意味合いで捉え、健康管理や安全運転、慎重な判断を心がけるとよいでしょう。厄払いや八方塞がりの祈祷を受けることで気持ちが落ち着くのであれば、それも一つの選択肢です。大切なのは、暦や占いに振り回されず、自分らしく過ごすことです。
本命星の調べ方を教えてください
本命星は、生まれた年をもとに九星気学の早見表で調べることができます。ただし、九星気学では節分(立春の前日)を一年の区切りとするため、1月1日から節分までに生まれた人は前年の九星になります。たとえば、2000年1月15日生まれの人は、節分前のため1999年の九星で判断します。インターネット上には本命星を自動で計算できるサイトもありますが、流派によって判断が異なる場合があるため、複数の情報源で確認するとよいでしょう。
八方塞がりの年に引越しをしなければならない場合はどうすればよいですか?
仕事の転勤や家族の事情など、どうしても引越しが必要な場合は、八方塞がりの年であっても引越しを優先することが現実的です。九星気学の考え方を参考にするのであれば、方違えを取り入れたり、引越し後に神社で祈祷を受けたりする方法もあります。ただし、これらはあくまで気持ちの整理や安心のための手段であり、必須ではありません。引越しそのものよりも、新しい環境での生活や人間関係を大切にすることが何より重要です。
まとめ
八方塞がりは九星気学における運気の巡りの考え方であり、厄年とは由来も判断方法も異なります。厄年が年齢で決まるのに対し、八方塞がりは生まれ年の本命星によって9年に一度巡ってくるとされています。どちらも「気をつける年」として扱われることがありますが、絶対的なルールではなく、一つの考え方として受け止めることが大切です。
八方塞がりの年に新しいことを始めるのを避けるという考え方もありますが、現実の生活では引越しや転職、結婚などのタイミングを自由に選べないこともあります。暦や占いに振り回されすぎず、自分の状況や価値観を大切にして判断することが何より重要です。
八方塞がりや厄年について知ることで、不安を減らし、前向きに過ごすための心構えを持つことができます。占いや暦は人生の参考情報の一つとして活用し、自分らしい選択をしていきましょう。